家電バルミューダ好調だが… 円安で「売っても売っても利益出ない」

  高級トースターなどで知られる家電メーカーのバルミューダが、円安に苦しんでいる。8日に発表した2022年1~9月期決算は、売上高が前年同期比12・7%増の124億円で過去最高だったのに対し、最終的なもうけを示す純利益が同83・6%減の4300万円だった。海外でつくった製品を日本に運んで販売するため、急速な円安で原価が膨らんだ。寺尾玄社長は決算説明会で「売っても売っても、この原価ではなかなか利益が出ない」と嘆いた。

 バルミューダは、トースターのほか、コーヒーメーカー、ケトルなど、デザイン性と機能性を兼ね備えた家電を相次いでヒットさせてきた。21年にはスマートフォンを発売し、話題を呼んだ。

 これらの商品は、国内で時間とお金をかけてデザインし、製造コストの安い中国や台湾などでつくる。地域別の売上高は国内が7割、韓国や北米などの海外が3割。日本での販売が多いため円安が進めば、仕入れコストが膨らむことになる。

 売上高に占める原価率は20年12月期に56・7%だったが、円安の影響などで22年1~9月期には66・8%まで跳ね上がった。通期の業績見通しは、本業のもうけを示す営業利益が前年比93・4%減の1億円、純利益は同99・8%減の200万円で、いずれも今年2月時点より下方修正した。

 製品の値上げについて、寺尾氏は「今のところ明確な計画はない」としたうえで「状況によっては、真剣な検討をせざるをえない。できればやりたくありません」と述べた。すでに今年4月、10製品を対象に販売価格を1~20%引き上げている。これは03年の会社設立以来初めての値上げだった。

 今後は、円安がプラスに働く海外での販売を広げていく方針だ。国内での製造についても「当然ながら視野に入る(円安の)レベルになっている」とした。(伊沢健司)

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